弥生時代臼・杵の復元
平成19年春〜夏 柴田芳一(柴一臼屋)製作

兵庫県立考古博物館からの依頼で弥生時代の臼と杵を復元しました。
弥生時代は稲作がはじまり、鉄器が登場した時代。すでに臼の基本的な製作方法はこの時代に確立したようです。
弥生時代の臼の出土品は多くがくびれ型です。しかし今回復元した臼は、くびれに柱が4本付いた形をしています。この柱の目的は不明ですが、持ち手として使用したと思われます。穴形状はすり鉢型で、主に脱穀に使われたようです。
材料はクスノキとマツが多く、今回はクスノキを使いました。クスノキは彫刻に使われる材で、柔らかいので臼には適さないのですが、加工は楽にできました。
杵はすべて竪杵(たてぎね)です。竪杵とはウサギの餅つきのあれです。カシやツバキでできている物が多いそうです。今回はカシの芯のある丸太材をそのまま使用しています。

仕様
臼:クスノキ製、上部外径66p、底部外径62p、高さ60p
杵:カシ製、長さ108p・116p、太さ7.5〜8p


弥生時代の臼と杵の製作は大変でしたがとても勉強になりました。兵庫県立考古博物館で展示されます。平成19年10月オープンです。
兵庫県立考古博物館ホームページ http://www.hyogo-koukohaku.jp/
製作には臼が1ヶ月半、杵は1本2日ほどです。臼の製作をはじめたのは3月ですが、完成したのは8月はじめ。1ヶ月半というのは実際に掛かった製作日数です。途中に他の仕事をしていたこともありますが、製作方法がわからず中断したり、どの道具で削るか試したり、道具を手配したり、仕立て直したりと、随分時間が掛かってしまいました。
弥生時代の臼の作り方はほとんど研究されていません。形だけ真似て作るのでは頼まれた意味がありません。当時はどのように製作していたか。鉄は貴重品で道具の種類は少なく単純な構造の道具しかなく、現在臼作りで使うノコギリ、台カンナはありませんでした。
はじめは通常の臼の作り方を試したのですが、形状が異なるため道具が合わず上手くいきません。それで様々な道具を試し、道具を購入したり、仕立て直しや柄を付け替えて製作しました。最終的には下の写真の道具だけで製作できることがわかりました。
道具の解説(写真下参照)
@古代チョウナ…臼くびれ、柱、底の削り、中の粗掘り、杵くびれ部分に使用。
A手チョウナ…臼の中を掘ったり、柱部分の削り出しに。使わなくても製作可能。
B曲がり槍ガンナ…臼の中の仕上げ用。木鉢など木器を作るのにも使用可能。
C槍ガンナ…柱部分の仕上げ削り用。
D両刃平ノミ…珍しい両刃のノミ。臼柱部分の削り出し、杵の溝彫りに使用。
Eオノ…臼の外側削り、中の粗掘りに使用。輪切りにも使用していたのでは。
Fチョウナ…大工用。古代チョウナより柄が長く腰が楽なので使用しました。
臼にするクスノキを輪切りにするときにチェンソーを使用。ちなみに柱のない単純なくびれ臼ならもっと少ない道具で作れます。

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